本の感想「マリエ」千早茜

本の感想「マリエ」千早茜文藝春秋

 40歳を目前にした主人公は突然配偶者から離婚を求められる。その理由は「恋愛をしたいから」というもの。無茶なというか理由になっていない理由だから、随分無理筋な設定で物語を始めるものだと感じた。主人公は相手がそう思っているのに離婚しないことは不幸だと考えて離婚に応ずる。少し読み進んで気が付いたが、離婚の理由というのは例えば明らかなAVなどの分かり易いことでないのならば、どんな理由であれ明確な言葉で表すことはできないのだ。物語は離婚後の暮らしぶりを時系列で追っていく。結婚相談所へ行ってみたり、思いがけない人物と恋仲になったりもする。小説だから、現実にありそうなことを描くのもよし、非現実的であってもいい。このストーリーはその中間ぐらいのところに位置するのかという感じがした。最初に出てくる離婚の理由をベースにすればどうせならもっとぶっ飛んだ非現実的な展開の方が面白くなったのではないかと思った。