2024-01-01から1年間の記事一覧

本の感想「お隣の外国人」吉永みち子

本の感想「お隣の外国人」吉永みち子(平凡社) 昨年のデータによると日本で就労している外国人はおよそ200万人だという。そのうち国籍別で最も多いのはおよそ50万人のベトナム人だ。このルポではアジア、中東、中南米から来日している外国人たちを取材した…

本の感想「遺品整理屋は聞いた!遺品が語る真実」吉田太一

本の感想「遺品整理屋は聞いた!遺品が語る真実」吉田太一(青春新書) 著者は日本で初めて遺品整理業の会社を起業した。それから6年間の経験を書籍化して2008年にこの本が出版された。内容はいささか古いが、この仕事の内実は今も当時も大きな変化はないの…

本の感想「救命センター当直日誌」・「救命センター カンファレンス・ノート」浜辺祐一

本の感想「救命センター当直日誌」浜辺祐一(集英社)・「救命センター カンファレンス・ノート」浜辺祐一(集英社) 前者は2001年、後者は2021年の出版で著者はその間ずっと救命救急センターに医師として勤務し続けている。この本はそこで対応する様々な事…

本の感想「先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!」小林朋道

本の感想「先生、ヒキガエルが目移りしてダンゴムシを食べられません!」小林朋道(築地書館) 外れのない「先生、シリーズ」の17巻目。書名になっているヒキガエルの捕食行動についての実験は以下の通り。ヒキガエルは広めの水槽で飼育し、餌容器として実験…

本の感想「正しき地図の裏側より」逢崎遊

本の感想「正しき地図の裏側より」逢崎遊(集英社) 主人公が高校生の時からその後の数年間を追った波乱のストーリーである。主人公は父親と二人暮らしだった。母親は主人公が幼い頃に離婚している。父親はトラックの運転手だったが仕事中に事故を起こしたこ…

本の感想「時間をかけて考える」養老孟司

本の感想「時間をかけて考える」養老孟司(毎日新聞出版) 初出は毎日新聞の書評欄2005年5月~2023年12月までのもの。新聞紙上で一度は読んだはずだがこうしてまとまったものを読むと記憶に残っているものはないものだ。3つのジャンルに分けてあり、1.意識…

本の感想「脳を開けても心はなかった」青山由利

本の感想「脳を開けても心はなかった」青山由利(築地書館) ヒトの意識とはどう定義することができるのかいまだに定見はない。しかしこの極めて難しい問題は以前から様々なアプローチがなされてきている。とりわけ、最近では生成AIの発達からAIが意識を持つ…

本の感想「星をつなぐ手 桜風堂ものがたり」村山早紀

本の感想「星をつなぐ手 桜風堂ものがたり」村山早紀(PHP研究所) 「桜風堂ものがたり」の続編で完結編。前の作品で主人公が働くことになった桜風堂という書店と主な登場人物のその後を描いている。街の書店が次々となくなっていくことがいわばこの物語の中…

本の感想「先生、モモンガがお尻でフクロウを脅しています?」小林朋道

本の感想「先生、モモンガがお尻でフクロウを脅しています?」小林朋道(築地書館) 「先生、シリーズ」の16巻目。書名のモモンガとフクロウの実験も面白いのだが、以前、モモンガの幼獣がフクロウの鳴き声に逃避行動をとることを明らかにした実験があった。…

本の感想「不思議カフェNEKOMIMI」村山早紀

本の感想「不思議カフェNEKOMIMI」村山早紀(小学館) 幽霊奇譚というか魔法使いファンタジーというか、そういうジャンルの物語。50代の女性が主人公で急に亡くなっるのだが、謎のランプから出現した魔ネコの計らいで死後魔法使いになるという設定になってい…

本の感想「1日1鉄!Ⅱ Part 2 2014-2024」中井精也

本の感想「1日1鉄!Ⅱ Part 2 2014-2024」中井精也 (Cloud Funding) この写真集はクラウド・ファンディングによって作成された。2014年4月には前作にあたる「1日1鉄!」が(株式会社インプレスジャパン)から発刊されている。当時は出版業界は今よりも活気が…

4月の山行「藻岩山」4月5日

4月の山行「藻岩山」4月5日 山頂からの眺め 今シーズン初の山行は藻岩山です。他にもいくつか候補がありましたがネット情報で調べても登山口までの雪の状況がよく分かりませんでした。藻岩山なら多くの人が入っていると考えて、ヤマップの活動日記を見てみま…

本の感想「桜風夢ものがたり」村山早紀

本の感想「桜風夢ものがたり」村山早紀(PHP研究所) 先に読んだ「桜風ものがたり」の続編だと思って読んだところ、こちらは続編でもありスピンオフ作品でもあるとのこと。続編は別にあって「星をつなぐ手」となっているので、次はそちらを読みたい。この作…

本の感想「先生、頭突きの中のヤギが尻尾で笑っています!」小林朋道

本の感想「先生、頭突きの中のヤギが尻尾で笑っています!」小林朋道(築地書館) 「先生、シリーズ」の15巻目。少し長くなるが「固定的活動パターン」について引用する。「固定的活動パターンというのは、『動作の始まりから終わりまで、そのパターンの発現…

本の感想「ナゾの境界駅探訪」鼠入昌史

本の感想「ナゾの境界駅探訪」鼠入昌史(イカロス出版) 境界には様々な種類があって、例えば米原はJR東海とJR西日本の境界、山崎は大阪府と京都府、神戸は東海道本線と山陽本線、敦賀は直流電化と交流電化などなど。その駅と周辺についての歴史や現在の様子…

本の感想「桜風堂ものがたり」村山早紀

本の感想「桜風堂ものがたり」村山早紀(PHP研究所) 書店員たちのヒューマン・ドラマで感動的な物語。初めて読む作家だったがこの作品は大当たりだった。出版は少し古くて2016年で本屋大賞にノミネートされたが大勝には選ばれなかったものらしい。何しろ主…

本の感想「繭の中の街」宇野碧

本の感想「繭の中の街」宇野碧(双葉社) 短編7作品を収める。恋愛小説と言ってもいいのかもしれないが、と言うよりは異世界との遭遇を描くというほうがよさそう。神戸の街を舞台にして人々の交錯を描く。読後感としてあまりスッキリした印象にはならない。…

撮影 2024年3月 千歳青葉公園

撮影 2024年3月 千歳青葉公園 雪融けが少しずつ進むこの時期は青葉公園で野鳥やリスなどを撮影しに出かけます。今年は数日訪ねました。いつも野鳥の撮影に来ている人たちが少なくないのですが、中には機材が¥100万を超える装備の人も珍しくありません。昨今…

本の感想「黄金の騎士団」井上ひさし

本の感想「黄金の騎士団」井上ひさし(講談社) 初出が1988年6月~1989年7月の「夕刊フジ」の連載で、未完の作品である。この本は620頁の長さがあるのでもう少しで完結するところだったのかもしれない。最後までストーリーを追えないのはとても残念だ。 四谷…

本の感想「告白の余白」下村敦史

本の感想「告白の余白」下村敦史(幻冬舎) 高知県で農家を営んでいる家族には双子の兄弟がいる。兄は実家を出て「放浪」していて、家業は両親と弟が営んでいる。兄は全国各地から時々絵葉書を送ってくるが、どこでどうしているのか詳しいことは記していない…

本の感想「先生、アオダイショウがモモンガ家族に迫っています!」小林朋道

本の感想「先生、アオダイショウがモモンガ家族に迫っています!」小林朋道(築地書館) シリーズ13巻目。本のタイトルにある通りの設定を実験で試した。母親モモンガと3頭の子供を飼育箱に入れて一定期間馴らす。そこに実験室で飼っているアオダイショウの…

本の感想「胡蝶殺し」近藤史恵

本の感想「胡蝶殺し」近藤史恵(小学館) 主人公の歌舞伎役者には小学生の息子がいる。自身の後継ぎとして同じ道を選ぶことを期待している。主人公に自分の息子と同い年の子供の後見人になって欲しいという依頼があった。その子の父親の歌舞伎役者が亡くなっ…

本の感想「マイ・リトル・ヒーロー」冲方丁

本の感想「マイ・リトル・ヒーロー」冲方丁(小学館) オンライン・ゲームの物語だが、こういう分野のことは全く知識がないので読んでいてよく分からないことだらけだった。50ページぐらい読んだところで止めようかと思ったのだが、知らない分野のことを少し…

本の感想「リミット」五十嵐貴久

本の感想「リミット」五十嵐貴久(祥伝社) 新刊の新聞広告で作者の名前を知ったことで初めてこの作者の作品を読んでみた。深夜のラジオ番組にリスナーから自殺予告のメールが届いた。番組の放送終了時に自殺するという。いたずらのメールかもしれないが、番…

本の感想「夜のピクニック」恩田陸

本の感想「夜のピクニック」恩田陸(新潮社) 高校の学校行事で「歩行祭」というものがある。朝、学校を出て延々と長距離を歩き深夜の2時から過眠を取り、朝4時から再スタートして学校へ戻るといういささか無茶な企画だ。毎年秋口に行われるこの行事には全校…

本の感想「方舟を燃やす」角田光代

本の感想「方舟を燃やす」角田光代(新潮社) 1967~2022年まで、主人公2人の半生を描く。一人(男性)は1967年の時点で幼稚園に通っていて、もう一人(女性)はその時点で高校生だった。私自身と年齢が近いのは前者の方で同世代と言っていいだろう。様々な出…

本の感想「忘れないでおくこと 随筆集 あたなの暮らしを教えてください 2」

本の感想「忘れないでおくこと 随筆集 あたなの暮らしを教えてください 2」(暮しの手帖社) このシリーズ4巻のうち2巻目で、日々の気付きにまつわる話として67名のエッセイを収める。興味深い内容だったのはブレイディ・みかこ氏のもので英国の夫婦別姓の現…

本の感想「崩れる脳を抱きしめて」知念実希人

本の感想「崩れる脳を抱きしめて」知念実希人(実業之日本社) 研修医と患者の関係を描くミステリー作品。患者は脳に重篤な疾患があり余命は長くないと分かっている。様々なトリックが次々と出てくるのでちょっと食傷気味になった。もっとシンプルな方がいい…

本の感想「新版 北海道登山口情報400」全国登山口調査会編

本の感想「新版 北海道登山口情報400」全国登山口調査会編(北海道新聞社) 2018年の新版だがすでに数年前の情報なので更新が必要なところもあるだろうと思われる。登山口までのルート状況とトイレの有無、駐車スペースのキャパなどを詳細に紹介してあるので…

本の感想「先生、オサムシが研究室を掃除しています!」小林朋道

本の感想「先生、オサムシが研究室を掃除しています!」小林朋道(築地書館) 「先生、シリーズ」の12巻目。毎度、驚かされることが記してある。ひとつだけ紹介する。ニホンモモンガに取りついているノミについて調べた。まず、その研究対象に驚く。著者はモ…